【語彙】スペインと中南米で異なるスペイン語単語10選
スペイン語は、スペインを起源としつつも、中南米諸国での長い歴史の中で独自の発展を遂げてきました。
私は大阪出身で今も関西に住んでいますが、モノを元の位置に戻すことを「直す」と言いますし、かぼちゃは南京、幼いことはおぼこい・・・などなど、その土地に根付いた標準語とは異なる言葉がたくさんあります。このように同じ物や状況を表す言葉であっても、スペインと中南米で異なることがあります。今回の記事ではスペインのスペイン語とラテンアメリカで違う単語・表現をまとめてみました。文化の違いも知れる興味深い記事になりましたので、ぜひご覧ください。
目次
車 – Coche vs. Carro
スペイン(ヨーロッパスペイン語):Coche
中南米(ラテンアメリカスペイン語):Carro
スペインでは車を指す際にCocheという言葉が使われますが、中南米ではCarroが一般的です。またアルゼンチンなど一部の中南米諸国では Auto という表現も使われます。
じゃがいも – Patata vs. Papa
スペイン:Patata
中南米:Papa
先日の記事でじゃがいもは中南米原産をお伝えしました。中南米ではじゃがいもは Papaと言われますが、これは中南米の先住民族であるインカ族の言語、ケチュア語で「papa」がじゃがいもを意味していたことに由来します。このケチュア語の「papa」がスペイン語に取り入れられ patata に、そして中南米全域でも papa が使われるようになったといういきさつがあります。
携帯電話 – Móvil vs. Celular
スペイン:Móvil
中南米:Celular
スペインでは Móvil 、中南米では Celular と呼ばれています。でもわりと中南米でも Móvil も使われるのがミソです。尚、「móvil」はラテン語の「mobilis」(動くことができる)から派生しています。
パソコン – Ordenador vs. Computadora
スペイン:Ordenador
中南米:Computadora
スペインでは Ordenadorと いう言葉が一般的に使われ、これは文字通り「整理するもの」を意味します (ordenarで並べるや整理、整頓するという動詞 )。一方、中南米では Computadora という言葉が広く使われています。
アパート – Piso vs. Apartamento
スペイン:Piso
中南米:Apartamento
Piso は、スペインで一般的に使われる言葉で、日本語でいう「マンション」や「アパート」に該当します。スペインでは、複数階に分かれている建物の各階にある住宅を指す際に「piso」と言います。特に都市部では、賃貸や分譲のいずれであっても、集合住宅の住まいはpisoと呼ばれます。一方で、こうした住まいは中南米のApartamento と日常的に言われます。中南米でPisoと言うと、「フロア」「建物の階」や「床」を意味する場合が多く住居を指す言葉としてはあまり使われませんので要注意です。
エビ – Gambas vs. Camarones
スペイン:Gambas
中南米:Camarones
Gambas は特に大きめのエビ(ジャンボシュリンプなど)を指すことが多いです。スペインのレストランのメニューなどでよく見かけます。私の行きつけのスペイン人のやってるスペインレストランではエビのアヒージョを頼むと「Gambas ね!」と言ってくれます。Camarones はラテンアメリカのほとんどの国では「エビ」を指すときにこの単語が使われます。サイズに関係なく一般的に「エビ」は「camarones」というイメージです。
駐車場 – Aparcamiento vs. Estacionamiento, Parqueo
スペイン:Aparcamiento
中南米:Estacionamiento, Parqueo
スペインでは Aparcamiento という言葉が使われますが、中南米ではEstacionamiento や Parqueo が一般的です。動詞 Aparcar(se) , Estacionar(se) ともに駐車するという意味なので、覚えやすいといえば覚えやすいかもしれません・・。この夏グアテマラに行った時も、”No estacionarse” (駐車禁止) と表記された看板がたくさんありました。
トイレ – Aseo/Servicio vs. Baño
スペイン:Aseo、Servicio
中南米:Baño
スペインでは Aseo や Servicio という表現が使われまして、Aseoは特に、公共の場所や家の中で小さなトイレや手洗い場を指すことが多いです。Servicio はトイレや洗面所を指すフォーマルな言葉で、公共施設やレストランなどで使われます。
一方で、中南米では Baño が一般的で、Bañoはトイレや浴室を指します。自宅のトイレだけでなく、公共のトイレも含め、幅広く使われます。
ジュース – Zumo vs. Jugo
スペイン:Zumo
中南米:Jugo
スペインでは Zumo、中南米では Jugo が使われます。どちらも果物のジュースを指しまして、オレンジジュースは Zumo (Jugo) de naranja と表現できますね。
OK, 了解 – Vale vs. Está bien
スペイン:Vale
中南米:Está bien
Vale はスペイン旅行に行かれた際にたくさん聞くことがあると思います。例えばホテルのレセプションで「チェックアウトは何時ね, Vale?」のように使われたり、あるときグラナダでフラメンコを見たときにも Vale という掛け声を聞いた記憶があります。
今までValeはそういう表現なんだと表面的に理解していたのですが、改めて記事を書くにあたり、なぜ Valeの由来を調べてみると、「Vale」は、ラテン語の「valere」から派生した言葉と分かりました。
ラテン語の「valere」は「強い」「健康である」という意味があり、そこから「価値がある」「有効である」といった意味が生まれ、ラテン語では別れの挨拶として「健康でいてね」という意味で「vale」という言葉が使われていたそうです。そこから、スペイン語の valer「価値がある」や「有効である」という意味が派生し、現代スペイン語の Vale につながっています。
まとめ
改めてまとめてみましたが、同じもの・ことを表すにしても、ここまで単語が違うと面白いですね。ちなみにこうした同義語をスペイン語では Sinonimo と言います。
スペインのスペイン語と中南米のスペイン語を使いわけることができたら、それはもうあなたは玄人です。旅行の際にでも、地域に応じたスペイン語を使い分けることで「おっ、この人はひょっとしてここに住んでいるのかな?」と思われるかもしれません汗 ぜひ、徐々にでもボキャブラリーを増やしていきましょう。