心が通う旅にするためには “言葉の力”
いつもは当教室と絡んでスペイン語圏の旅行が多いですが、今年の夏季休暇を利用して、ウズベキスタンを旅してきました (旅行記はnoteに順次アップ中)。
この記事を書いたのは帰国便の乗り継ぎで立ち寄っている北京空港。まだ旅の余韻に包まれながら、今回の旅で感じたことを頭の中で整理しました。
観光しやすい国、ウズベキスタン
行く前までは「中央アジアは観光が大変そうだな」という勝手なイメージを持っていました。ところが、実際はその逆。観光インフラは整い、シルクロードの歴史を物語るイスラム建築が各都市に点在し、東南アジアとはまた違う異国情緒あふれる見どころに事欠きませんでした。
食事は日本人の口に合いやすく、公共交通も時間どおり。観光地の入場料や宿泊費も含めて、価格以上のクオリティが提供されている印象です。治安もよく、夜遅くまで子どもたちが元気に歩いている姿を見かけるほど。人口の平均年齢は29歳と若く、国全体に活気を感じました。正直、「小さな子ども連れでも安心して楽しめる国」だと感じます。
もちろん難点もあります。それは「英語があまり通じない」ということ。通じたとしても、少し込み入った質問になると回答は難しいかな・・というのが個人的な印象。結果的に、誤解が生じそうな場面や意思を伝えたい場合の多くはGoogle翻訳を頼ることになりました。
テクノロジーのおかげで、旅行に困ることはありませんでした。けれども心の奥では「自分の言葉で伝えたい」というもどかしさがあったなと感じています。
バザールでの体験:ナッツとの出会い
ウズベキスタンの各都市にあるバザールでは、生鮮食品はじめナッツやドライフルーツが所狭しと並ぶ巨大な市場。ナッツやドライフルーツ、はちみつなんかは多くの店が立ち並び気軽に試食させてもらえ、自分の好みに合った味(店)を探し出す楽しみがあります。
今回ブハラ、サマルカンド、タシケントと3都市のバザールに訪れましたが、特に「自分の言葉で伝えたい」を痛感したのは首都タシケントのチョルスーバザールでの体験でした。

毎度のこと(?)、アーモンドやレーズンを試食させてもらいながら色んな店を回りました。その中で出会った一軒のナッツ屋さん。軽い気持ちで素焼きにピスタチオやレーズンをひとつ口に入れた瞬間、ピスタチオは香ばしさ抜群、レーズンはこんなの食べたことがないほどジューシー。「ここが一番だ!!!」と直感しました。
結局その場で買い物をした後、散歩がてらそれをつまみ食いしたら、どうしてももう一度食べたくなって再びバザールに戻って追加購入するほど。買いに戻ったとき、店員さんに「色んな店で食べたけど、ここのお店のナッツがこの旅で一番おいしかったです」と伝えたくなり、Google翻訳でメッセージを作って見せました。

店員さんは笑顔で喜んでくれましたが、帰りの空港に向かうタクシーで「自分の口から直接伝えられたら、もっと深いやりとりになったのではないか」と考えていました。
翻訳アプリを使えば最低限の意思疎通はできます。でもそれは「伝える」というより「行動」に近いです。対話や交流というよりは、誤解を恐れずに言うとただの取引になってしまう感覚があります。自分の言葉で話すことは、相手との心の距離を縮め、思い出をより鮮やかにする力を持っています。私がスペイン語圏を旅するときに、自分のスペイン語で現地の人と笑い合えた体験やトラブル対処を手伝ってもらった経験を思い返すと、その差は歴然です。今回の旅では、便利さの裏側に「ことばの力」の重要さを改めて痛感し、「そういえば、私がスペイン語をはじめたのも、もっと現地の人と交流をしたかったからなんだった」と思い出しました。

改めて、同じような趣旨を書いた記事を改めて見てたのですが、私めっちゃ良い表情していることにもちょっと驚きました。これはひとえに現地の言葉が話せるから。
旅をもっと豊かにする言葉の力
語学を学ぶ理由は人それぞれです。仕事で必要だから、資格試験に挑戦したいから、趣味として楽しみたいから…。でも一番大きな便益は、心の通ったやりとりができることではないでしょうか。(予習を全くしなかった私も悪いのですが、、)旅先でちょっとした一言だけでも伝えられるだけで、体験は一段深まり、それが「自分だけの思い出」になります。
今後もスペイン語を通じて「旅や日常、仕事をもっと豊かにする体験」を提供できればと考えています。またそれが、私がオンラインスペイン語教室 Mundo Contigo を続けている理由でもあります。スペイン語に限らず、あなたも次の旅に向けて、“自分の言葉で伝える力” を育ててみませんか?